小谷家住宅の修復・保存について
小谷家の修復・保存・公開に当たっての手順としては、
1、老朽化を防ぐための当面の補修
2、当時の姿の復元
3、公開の為の備品、管理体制の研究
などがあげられる。
1 については、平成21年11月に小谷家住宅が館山市の有形文化財になったのを機に、懸念される個所を調査した上で、必要があれば早急に手を打たねばならない。
2 については、どのような形に修復・復元するか調査・研究することが先決であるが、これはNPO法人青木繁「海の幸」会に設置される「保存委員会」で検討することになる。
小谷家住宅は「海の幸」が誕生したという美術史的に価値ある家屋であると同時に、当時の網元の代表的な家屋としての歴史的な価値をも考慮して復元されなければならない。
すでに現地の青木繁<海の幸>誕生の家と記念碑を保存する会(以後現地保存会)が家屋の調査を行い検討しているので連携を取って無駄のない調査・研究を行う予定である。
3 については、現在この家屋を住居とされている小谷ご夫妻の生活空間を別に確保することが必要である。現在は訪問する見学者も少ないのでご夫妻が住まいながら対応しておられるが、公開されて訪問者が増えると対応が困難になる。
また、公開後の管理は現地保存会を中心とする地域コミュニティーに委託されることが予想されるが、それがスムーズに進むためにも青木繁関連の資料など展示品の準備、管理ノウハウの事前構築が必要である。
小谷家住宅が館山市の指定文化財になったことは、その文化的価値にお墨付きを貰ったという点や、今後資金的な面での補助を期待できる意味では力強い面がある。
しかし、補修、修復など手を加える際は、逐一市の該当部署と相談しなければならないという煩雑さは避けられない。
それゆえに、現地保存会との協働をさらに強めて活動していく予定である。